リチウムイオン電池を内蔵する機器で、電池の駆動時間が問題となる場合は、機器の外に電池パックを増設するのが最も簡単、かつ確実な方法です。この場合は外付けパックは機器にとって、ACアダプターと同じ位置づけになります。外付けパックは機器の電源がONになっている場合はまず機器の運転に使われ、余った電力で内蔵バッテリーパックの充電に使われます。機器の電源がOFFになっている場合には、外付けパックは内蔵バッテリーパックの充電に使われます。
外付けパックに要求される電圧は
単セル(携帯電話など) | 5~6V |
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2直(デジカメなど) | 10~12V |
3直(ノートパソコン) | 14~16V |
4直(ノートパソコン) | 18~20V |
となります。電流値としては、余裕を見れば機器に使われているACアダプターの出力電流定格値と同じにすれば問題ありません。
外付けバッテリーパックの駆動時間の概算値を求めるためには、以下のように計算してみてください。外付けバッテリーパックはDC/DCコンバーターで電圧を変換し、一定電圧を出力するので、計算は電力値で行うのが便利です。
バッテリーパックのラベルなどに記載されている定格を見てください。
通常、電圧と、電流容量値が記載されています。 この電圧は平均電圧です。 したがって、定格に書かれている電圧と電流容量値を掛け算したものが電力容量値です。
電流容量値がmAhの場合は掛け算の結果はmWhとなり、その数値を1000で割り算したものがWhです。
外付けバッテリーパックは満充電で供給可能な電力容量値が規定されているのが一般的です。
上記の内蔵電池の電力容量値との比率を求めてください。
内蔵電池だけの場合の使用時間に対して、ほぼこの比率分の時間が外付けパックで駆動可能です。
参考までに、内蔵電池パックのセル構成を調べてみましょう。電圧は平均電圧のため、セル1本当たり3.6V~3.8Vです。定格に書かれている電圧は
単セル | ~3.7V |
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2直 | ~7.4V |
3直 | ~11.1V |
4直 | ~14.8V |
5直 | ~18.5V |
となっているはずです。これで、電池パック内のセルの直列数Xがわかります。
電流容量は単セルの電流容量値×並列数です。
ノートパソコン用の電池パックでは18650(直径18.3mm、長さ65mm)セルを組み合わせたものがほとんどですが、このサイズのセルでは時代ごとの最大電流容量値が
1995年ごろから | 1600mAh |
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1998年ごろから | 1800mAh |
2000年ごろから | 2000mAh |
2002年ごろから | 2200mAh |
2004年ごろから | 2400mAh |
2006年ごろから | 2600mAh |
2008年ごろから | 2800mAh |
と容量が増えてきています。
電池パックが作られた年代と、電池パックのサイズからセルが何本入っているか見極め、セルの並列数Yを求めてください。電池パックはX直Yパラ、 もしくは XSYP (XとYに数字が入ります。)と呼ばれます。
ノートパソコンに用いられるセルで、18650以外のサイズは
円筒型では17670(径17mm、長さ67mm)(容量は18650より100mAh程度少ない。)、または
18500(径18mm、長さ50mm)サイズ(容量は1200mAh~1500mAh)のセルが使われているものも一部にあります。
角型電池では34mm×50mm×厚さ10mm(容量は1400mAh~1800mAh)サイズが多く用いられています。このサイズは携帯電話用の2倍以上の大きさがあるものです。角型としては最大の大きさになります。携帯電話用のサイズのものをパソコン用に使うことは一般的ではありません。